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指数と対数については,ごく一般的な表記方法,例えば,ex, expx, log5x, lnxなどの形で計算を 行なえます. elnx=xlnex=xからも分かるように,指数と対数はお互い逆関数の関係になっ ています.

3.5.1 指数と指数関数

指数関数は生化学関係のモデリングに一般的に利用される関数です. 指数法則は指数関数を利用す る上でとても重要な事柄です.

指数の積

底をeとする指数関数の積には次の法則があります.

◮ 結合 +指数

(ex)y=eyx exey=ex+y

◮ 展開

ex+y=exey ex+3 lny=y3ex

累乗の積

任意の数aの累乗には次の法則があります.

◮ 結合+ 累乗

3.5 指数と対数 71

axay=ax+y

指数法則

指数法則により指数の計算を行なう場合は簡単化コマンドまたは,結合+累乗を使います. また, 式によっては結合+指数を使うこともできます. 指数法則は指数が実数であれ,複素数であれ利 用できます.

◮ 簡単化

2x2y= 2x+y 3x2−3xy32x+5= 32x−3xy+x2+5 ax

ay =ax−y 10x+i10x−i= 102x 指数表記

関数expexpx=exと定義されています.数式モードでexpと入力すると,自動的に灰色で表 示されます. 指数関数の計算結果はexpf(x)ではなく,普通,ef(x) として画面上に表示されます. しかし,あまりにf(x)が複雑な場合は自動的にはexpf(x)の形式で表示されます.次にその例を 示します.

◮ 結合 +指数 (ea+b)3

=e3a+3b ex2−3xye2x+5= exp(

2x−3xy+x2+ 5)

指数関数を計算する

近似値を求める場合は計算または数値計算コマンドを利用します.小数点を使うと自動的に数値解 が得られるのは,ここでも同じです. 有効桁数の設定はツールメニューの計算エンジン設定コマン ドで行ないます. ここでは計算結果の表示桁数を8にした時の例を示します(参照29ページ).

指数式 計算コマンド 数値計算コマンド

e2 e2 7.3890561

e0.0025 1.0025031 1.0025031

54 625 625.0

25 25 4.7111131

3.5.2 対数と対数関数

関数lnxは底をeとする自然対数です. これ以外の底を持つ対数はlog で記述して底も明記しま す. 例えば, log525 = 2log10103 = 3などとします. 仮にlogxと入力しても,数式処理設 定メニューで底に関するオプションを変更しない限り自然対数になります. この設定はグローバル 設定と,文書ごとに設定するローカル設定に分かれています.

◮ 関数 log の底を変更する

1. ツールメニューから数式処理設定を選択します.一般タブを表示します.

2. 対数の底の項目で,デフォルトのe10に変更するをチェックします. OKボタンをク リックします.

◮ 個別の文書だけで関数log の底を変更する

1. 数式処理メニューから設定を選択します. 一般タブを表示します. 2. ローカル設定をチェックします.

3. 対数の底の項目で,デフォルトのe10に変更するをチェックします. OKボタンをク リックします.

常用対数は計算コマンドを使って,自然対数に変換することができます.

◮ 計算 logx= lnx

logのデフォルトの底をeから10に変更すると,計算も自然対数で行われます.

◮ 計算 logx= log10x

自然対数の機能には大変興味深いものがあります. 対数のプロパティ

対数のプロパティは,簡単化と結合のコマンドで見ることができます.

◮ 簡単化

lnxy=ylnx log 38= 8 ln 3

◮ 結合 +対数

lnx+ lny= lnxy lna−lnb= lnab ln 2 + ln 3 = ln 6 6 ln 7 = ln 117 649 2 log 3 + 6 log 7 = ln 1058 841

対数の計算

数値計算を行なう場合は計算コマンドまたは数値計算コマンドを使います.計算コマンドは対数記 号を使ったまま式を変形するのが基本ですが,小数点形式の値を利用した場合は,数値計算を実行 します. 有効桁数の設定はツールメニューの数式処理設定や計算エンジンの設定コマンドを利用し ます. ローカル設定の場合は数式処理+設定から一般タブを使って行ないます. ここでは計算結果 の表示桁数を5に設定した時の例を次に示します.

数式 計算コマンド 数値計算コマンド

ln 2 ln 2 0.69315

log105 ln 10ln 5 0.69897

ln 0.0025 −5.9915 −5.9915

ln 1.0025 2.4969×10−3 2.4969×10−3

3.6 練習問題 73

3.5.3 指数式と対数式を解く

指数式や対数式を解く場合は求解サブメニューの解コマンドを利用します. 変数を指定するダイア ログでは,目的の変数を入力します.

数値解を求める場合は,係数に小数点を付けて求解+,または,数値計算コマンドを選択します. 変数が1つの場合は求解+数値解コマンドを使います.

◮ 求解 + 3x= 8,:{ 1

ln 3(2iπk+ ln 3 log38)|k∈Z} ex=y+ 1

y−1, (変数はx) 解:

{ ∅ if y=−1

{lny−11 (y+ 1) + 2iπk|k∈Z}

if y̸=−1

2つのオプション,一般的な解だけを求める,と特別な解を無視する,が用意されています.従って, オプションを選択しない限り全ての解を出力します.

◮ 解を求めるには,以下のように行います.

1. ツール+計算エンジン設定で表示される一般タブを選びます.

2. 基本的な解だけオプションと,特別なケースは無視するという2つのオプションのチェック を付けます.

◮ 求解 + 3x= 8,: log38 ex=y+ 1

y−1, (変数はx),: ln 1

y−1(y+ 1) P=Qekt, (変数はk),: 1tlnPQ

数値解に対しては, 10進法で係数を入力して,求解+解を選ぶか,数値計算を行います. 特定の解 については,求解+数値解を選ぶことができます.

◮ 求解 + 3x= 8.0,: 1.892 8

log (3x+y) = 8.0,: 993.65−0.333 33y

◮ 求解 +数値解

3x= 8,: {[x= 1.892 8]}

log (3x+y) = 8,: {[x= 842.07, y= 454.74]}

3.6 練習問題

1. 多項式x2−3x+ 5kx+ 4で割ったときの余りを9とします.kの値を求めてください. 多項式サブメニューの除算コマンドと求解+解のコマンドを使います.

2. 関数f(x) =x3+xlnxg(x) =x+ex を定義してください. そしてf(g(x)),g(f(x)), f(x)g(x),f(x) +g(x)を計算してください.

3. 2(x1, y1), (x2, y2)を通過する直線の式を求めてください. 4. 2(2,5), (3,−7)を通過する直線の式を求めてください. 5. 2(1,2), (2,4)を通過する直線の式を求めてください. 6. sx+ty=cの傾きを求めてください.

7.楕円16x2+ 4y2+ 96x−8y+ 84 = 0の中心と半径を求めてください.

8.xn−ynにいくつかの正の整数nを代入して因数分解してください. そして一般式を予 測してください.

9. x2+(√

5−3) x−3√

5に因数分解を実行すると x2+(√

5−3) x−3√

5 = ( x+√

5) (x−3)

となります. 無理数を含む式でも,その形によって因数分解が可能です. 一方, x2−3 x3+ 3x2−5x+ 1に因数分解を実行しても,何も起こりません. これらの式を因数分解す る場合はどうしたらよいでしょうか?

10. 次の連立方程式の実数解と虚数解を求めてください. 2x2−y= 1 x+ 3y3= 4